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第2章 プロジェクトの目的とゲーム概要
離れて暮らす友人と、ボードゲームを囲む
GeoGainerを作り始めた理由は、まず既存のボードゲームである「カタン」が面白かったからである。好きなのはルールや勝敗だけではない。交渉や相談、ときには駆け引きをしながら、ゲームを通して自然にコミュニケーションが発生する。その時間も含めて面白いと感じていた。
自分は現在海外に住んでいる。日本にいる友人たちとは地理的に離れているが、リモートでも同じように集まり、ボードゲームを囲める場所が欲しかった。そこで、特別なソフトウェアを用意しなくてもURLから参加できる、ブラウザ上のオンラインゲームとしてGeoGainerを作り始めた。
最初から大きなプロダクトを作ろうとしていたわけではない。出発点は、まず作って友人と遊んでみよう、という個人的な試みである。自分の発想を自由に形にし、それを友人に遊んでもらうことは、自分の創作欲を満たすことにもつながっていた。ビジネスとして始めたものではないからこそ、自分が面白いと思うアイデアをそのまま試せる余地があったと思う。
約束された面白さと、新しい遊び方
通常モードでは、カタンの公式ルールを土台にしている。すでに多くの人に遊ばれてきたルールを使うことで、ある程度約束されたゲームバランスの中で楽しめるようにするためである。
自分が特に好きなのは、必要な資源を一人ですべて揃えることが難しく、他のプレイヤーとの交換を前提に立ち回るところである。どの土地を取って、どの資源を得やすくするかという地理的な判断だけでは完結しない。誰と何を交換するかという対人の判断まで含めて、戦略を考える必要がある。
さらに、自分だけが有利に進めば他のプレイヤーから警戒される。そのまま独走することが難しく、交換を断られたり、狙われたりする。言うなれば、盤面上の戦略と人間同士の関係が切り離されていない。このゲームの仕組みから自然に会話が生まれるところが、オンラインへ持ち込みたいと感じた魅力の一つだった。
ただ、せっかく自分で実装するなら、既存ルールを再現するだけで終わらせたくはなかった。自分のアイデアを加え、元のゲームとは違う面白さを作ろうとしたのがExtremeモードである。友人に遊んでもらう以上、できれば既存のゲームよりも面白かったと思ってもらいたい、という気持ちもあった。
Extremeモードには、多人数戦の時間を短くしたいという狙いもある。基本となる4人戦に比べると、8人での対局はどうしても長くなる。そこで、追加要素によってゲーム展開やプレイヤーの成長を加速し、1試合を短くする方向で調整してきた。短い時間で何度も遊べれば、友人の感想を次の改善へ反映するサイクルも回しやすくなる。
このあたりのゲームバランスは、まだ完成したものではない。実際に遊び、友人と話しながら調整している段階である。
テスト用のBotから、戦略を作る遊びへ
Botは、最初から独立した遊びとして計画していたものではない。そもそもは、自分一人でテストプレイや自動対局を行うために必要になった。遊ぶ人数が足りないときに、人間の代わりとして参加できるBotが欲しいという理由もあった。
GeoGainerには、プレイヤーが時間内に操作しなかったとき、サーバーが既定の手を選んでゲームを進めるタイムアウトの仕組みがある。初期のBotはこれを利用し、タイムアウト時の判断を自動で選ぶものだった。ただ、テストする局面が増えると、固定された判断だけでは使いづらい。自分でアルゴリズムを書き、状況に応じて行動を変えられた方が柔軟だと考えるようになった。
この発想から、ユーザーがBotの戦略をプログラムできるGGBSLを作った。「ユーザーのため」というより、始まりは自分自身がゲームの判断ロジックをプログラムで書きたかった、というのが実際のところである。自分が書いたBotが動き、人間がプレイしているような判断をしたときには、意図した考え方が実際の行動として現れたうれしさがあった。
戦略を書く仕組みをユーザーへ公開すれば、各自が作ったBotを対戦させるコンペティションにも発展できる。現時点では、他の人が書いたBotを集めて競わせるところまでは実施していない。テストを楽にするために作った仕組みから、別の遊び方が副産物として見えてきた、という段階である。
誰かを置いていかないための8人対応
カタンは4人で遊ぶのが基本だが、友人へ参加を呼びかけると、4人を超えて集まることがある。そのときに一人だけ参加できないのは、かなり悲しい。そこでGeoGainerでは、余裕を持って最大8人まで同じ対局へ参加できるようにした。
これは単に対応人数を増やしたという話ではない。「今度遊ぼう」と気軽に声をかけ、想定より多く集まっても全員で遊べることに価値があると思っている。地理的に離れた友人が集まる場所を作るという、GeoGainerの目的にも直接つながる判断だった。
動くだけでなく、楽しい時間として終えられること
友人に遊んでもらう以上、その時間をもらっているという意識がある。ゲームの途中でバグが発生すれば、勝敗だけではなく、皆で集まった体験そのものが損なわれる。定期的に遊び続けるためにも、最後は「楽しかった」という感想でその時間を終えたいと思っている。
最初は、作って遊べればよいというところから始まった。ただ、実際に友人へ遊んでもらうようになると、ルールどおりに動くだけでは足りないと感じるようになった。トップ画面からルームを作り、ロビーへ入り、対局を終えて成績を確認し、またロビーへ戻って再戦する。この一連の流れを途切れさせず、ルーム制のオンラインゲームとして当たり前に期待されるところまで引き上げる必要があった。
結局、自分が一番やりたかったのは、地理的に離れていても友人と集まり、一緒に楽しめる場所を作ることである。その時間を少しでも良いものにするために、ゲームのルールだけではなく、参加してから再戦するまでのプロダクト全体を磨いてきた。